マウスピース矯正のデメリットを矯正歯科ブログが徹底解説!ワイヤー矯正との比較も
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ここ数年、マウスピース矯正の人気が高まっています。
マウスピースを装着中でも目立ちにくく、しかも自分で着け外しができるとあって、「私もやってみたいな」と思う方が増えているのかもしれません。
ただし、人気の高いマウスピース矯正でも、メリットもあればデメリットもあります。
このデメリットを知らないままマウスピース矯正を始めると、あとで「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうことも……!
この記事では、「マウスピース矯正をやってよかった」と満足するために、知っておくべきデメリットをわかりやすく解説します。
せっかく歯列矯正を始めるなら、デメリットも理解したうえで始めましょう!
マウスピース矯正の6つのデメリット






マウスピース矯正には、6つのデメリットがあります。
なぜこれらがデメリットとなってしまうのか、くわしく見ていきましょう。

1.毎日の適切な装着時間管理が必須

マウスピース矯正のマウスピースは、自分で着け外しができます。
食事の前に外し、食後に歯みがきをしてからマウスピースを再装着するのがお約束ですが、マウスピースを長時間外していいわけではありません。
なぜなら、歯列矯正は、歯を動かしたい方向に力をかけて、徐々に歯を移動させていく治療。
歯に力をかける時間が短いと、計画通りに歯が動かなくなってしまうのです。
そのため、マウスピース矯正のブランドは、それぞれに1日に必要な装着時間を設定しています。
たとえば、マウスピース矯正のパイオニア的ブランドであるインビザラインは、1日に20~22時間のマウスピースの装着が必要としています。
◆ インビザラインの装着時間に関する記事もあるので、参考に読んでみてくださいね。

◆「マウスピース矯正ってなんだかめんどくさそう」と思った方は、マウスピース矯正と上手く付き合うコツを紹介した記事もありますよ。ぜひ読んでみてください!
2.食事や飲み物の制限・食後のお手入れなど守るべきルールがある

マウスピース矯正には、食べ物・飲み物に関するさまざまなルールがあります。
マウスピース矯正中の飲食ルール
- 食事の前にマウスピースを外す
- 飲み物を飲む前にマウスピースを外す
- 飲食後はかならず歯みがきをする
- 飲食後はマウスピースを洗浄してから再装着する
マウスピースは毎日装着しなければならない時間が決まっています。
長時間マウスピースを外していると装着時間が足りなくなってしまうため、1日3回の食事のほかは、マウスピースを外すことは難しいかもしれません。
「飲み物ぐらいならマウスピースを着けたままでもいいのでは?」と思うかもしれませんが、温かい飲み物はマウスピースを変形させてしまうリスクがありますし、紅茶やワインなどの色素はマウスピースを変色させる原因となります。
基本的にマウスピースを着けたまま飲んでいい飲み物は水だけです。
◆ マウスピース矯正中の飲み物をくわしく解説した記事もあわせて読んでみてくださいね。
また、飲食後は歯みがきとマウスピースの洗浄が必須です。
歯みがきをしないままマウスピースを装着すると、むし歯や歯周病のリスクが高くなってしまうので、じゅうぶん注意しましょう。
マウスピースは、専用の洗浄剤も市販されていますが、外出先や職場の昼休みなどでは、毛の柔らかな歯ブラシでやさしくブラッシングし、水で洗い流すだけでもOKです。
◆ マウスピースの洗浄方法をくわしく解説した記事もあるので、ぜひ一度読んでみてください。
3.マウスピースの紛失や破損の可能性がある

マウスピース矯正は、マウスピースを自分で着け外しできるのがメリットですが、紛失したり破損したりしないように注意が必要です。
とくに食事前に外した時などは、保管に気を付けなければなりません。
「ティッシュに包んで保管したつもりが、うっかりそのまま捨ててしまった」「洗面台にそのまま置いて、落としたのに気づかずに踏んでしまった」という話もあります。
もしマウスピースを紛失・破損してしまうと、マウスピースを再製作しなければならなくなります。
その場合、再度型取りをして製作してもらうことになるので、お金も時間もかかってしまいます。
マウスピースを破損や紛失から守るには、専用のケースに入れて保管するのがおすすめです。
4.重度の症例には対応できない場合がある

マウスピース矯正には、対応できない症状もあります。
具体的な症状はマウスピース矯正ブランドにより異なりますが、一般的には、次のような症状であればマウスピース矯正で治療できる可能性が高いでしょう。
- 歯並びの症状が軽度~中度
- 抜歯をしなくても歯を動かすスペースがある
- あごの骨格に問題がない
◆ マウスピース矯正ができない例をくわしく解説した記事もあるので、気になる方は読んでみてくださいね。
5.歯根露出のリスクがある

マウスピース矯正を進めていくうちに、しだいに歯根(歯の根っこ)が露出してくることがあります。
これは、歯が移動していくのにしたがって歯ぐきが下がってしまう「歯肉退縮」という現象です。
歯が急に大きく動いたときなどに起こりやすいといわれており、マウスピース矯正だけに起こるのではなく、どのような歯列矯正でも起こり得る現象です。
治療計画通りに歯が動いていない可能性が考えられるため、マウスピース矯正を始めてから歯根が露出してきたと感じたら、早めに歯科医師に相談しましょう。
6.一時的に噛み合わせの違和感が出る場合がある

マウスピース矯正は、歯列全体をマウスピースで覆います。
奥歯の噛み合わせの部分にもマウスピースが重なるため、マウスピースの厚みのぶんだけ奥歯に強い力が加わり、歯が下に押し下げられることがあります。
このような現象を「圧下(あっか)」と呼んでいますが、奥歯が上手く噛み合わさないことから、違和感を覚えることがあります。
マウスピース矯正中にはたまに起こる現象ですが、ほとんどは一時的なものです。
しだいにもとの噛み合わせに戻っていきますが、不安が強い場合や症状が長く続く場合は、歯科医師に相談してください。
マウスピース矯正とワイヤー矯正どっちがいい?【比較表】

マウスピース矯正を検討している方は、「マウスピースとワイヤーどっちがいいの?」と悩んだことはありませんか?
さっそくメリット・デメリットを表で比較してみましょう!

従来の歯列矯正とメリット・デメリットを比較
従来の歯列矯正とは、歯の表面にワイヤー装置を装着する「ワイヤー表側矯正」のことです。
まずはマウスピース矯正とワイヤー矯正の違いを比較してみましょう。
マウスピース矯正 | ワイヤー矯正(表側) | |
---|---|---|
![]() | ![]() | |
見た目 | 目立ちにくい | 目立ちやすい |
痛み(※1) | 比較的感じにくい | やや痛みを感じることがある |
違和感(※1) | 感じにくい | 話しづらさを感じることがある |
目安の治療期間 | 1年~3年程度 | 1年~3年程度 |
目安の費用 | 40万~100万円程度 | 50万~90万円程度 |
※1 痛みや違和感には個人差があります
◆ マウスピース矯正の値段は治療する範囲やブランドによっても異なります。値段についてくわしく解説した記事もあるので、ぜひ読んでみてくださいね。
◆「マウスピース矯正で失敗することはあるの?」と気になっている方は、失敗と感じてしまう原因や対策方法を紹介した記事もあります!
歯列矯正の方法を選ぶときは、つい値段に目が行きがちですが、さまざまな比較ポイントがあります。
迷ったら、それぞれの矯正方法のメリットや効果を見直してみるとよいでしょう。

マウスピース矯正のメリットや効果をおさらい!

マウスピース矯正のメリットは主に4つ挙げられます。
1.目立ちにくい
矯正装置の目立ちにくさは、マウスピース矯正の大きなメリットです。
周りに歯列矯正中であることを知られずに治療することも可能なほど自然な見た目なので、営業や接客の仕事をしている方もハードルが低いでしょう。
2.痛みを感じにくい
歯列矯正の痛みは、歯が動く時の炎症によるものです。
強い力をかけると歯にかかる負担も大きくなるため、強い痛みを感じやすくなりますが、マウスピース矯正のマウスピースは、歯に強い力がかからないように精密に調整されているため、個人差はありますが、痛みを感じにくいのです。
3.取り外しできる
自分でマウスピースを外して、マウスピースを洗浄したり、口腔ケアをしたりできます。
むし歯や歯周病になると、歯列矯正をいったん中断してむし歯・歯周病の治療が優先となることもあるため、口腔内の衛生環境を保つことは重要です。
※一日の装着時間を守る必要があります。
4.金属アレルギーの心配がない
マウスピース矯正のマウスピースは、樹脂でできています。
金属を使用していないので、金属アレルギーのために歯列矯正をあきらめていた方にもおすすめできます。
◆ マウスピース矯正のマウスピースについて、くわしく解説した記事もあります。ぜひこちらも読んでみてください。

マウスピース矯正のデメリットを抑えるための対策

マウスピース矯正のデメリットをなるべく避けるには、患者様の自己管理とクリニック選びが大切です。
とくにマウスピースの自己管理は、患者様の努力が治療に大きく影響します。
必要な装着時間をしっかりと守り、食後の歯みがきとマウスピースの洗浄を忘れないようにしましょう。
不安な方は、マウスピース矯正をサポートするアプリを利用する方法もありますよ。
装着時間の管理やマウスピースの交換タイミングをお知らせしてもらえるので、自己管理がぐっと楽になります。
また、歯科クリニックとは長いお付き合いになるので、相談しやすく、丁寧に説明してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。
気になるクリニックが複数あるときは、まずはカウンセリングを受けてみて、対応や設備などを比較するとよいでしょう。
マウスピース矯正の疑問を解消【よくある質問】

最後に、マウスピース矯正に関するよくある質問を紹介します。
マウスピース矯正を検討中の方は、ぜひ確認してみてください。
マウスピース矯正で前歯だけ治すデメリットは?
マウスピース矯正には、歯列全体を治療する「全体矯正」と、前歯だけ治す「部分矯正」があります。
前歯だけ治療する部分矯正のマウスピース矯正は、動かせる歯列の範囲が限定的なため、噛み合わせが治療できなかったり、症状が重い場合は適応とならなかったりするデメリットがあります。
マウスピース矯正は虫歯になりやすい?
マウスピース矯正中は、むし歯リスクが高まります。
なぜなら、1日のほとんどの時間をマウスピースを装着したまま過ごすため、マウスピースの洗浄や歯みがきが適切に行われていないと、むし歯の原因菌が繁殖しやすいからです。
また、マウスピースを装着していると、雑菌を洗い流す作用のある唾液の循環が滞ってしまうことからも、むし歯になりやすいといえるでしょう。
ちなみに、ワイヤー矯正は、歯ブラシが装置に引っかかりやすく、食べかすなどがはさまりやすいため、こちらもむし歯リスクが高まる治療法です。
マウスピース矯正とワイヤー矯正は、どっちが痛い?
痛みの感じ方には個人差があるため、マウスピース矯正とワイヤー矯正でどちらが痛いかは一概にはいえませんが、マウスピース矯正は、歯を動かす角度や距離などを精密に調整できる治療法です。
歯にいちどに大きな負担がかかりにくいという意味では、マウスピース矯正のほうが痛みを感じにくいといわれています。
◆ マウスピース矯正にの痛みについては、こちらの記事でくわしく解説しています。
マウスピース矯正は1ヶ月でどれくらい歯が動く?
1ヶ月でどれくらい歯が動くかは、マウスピース矯正のブランドによって多少前後しますが、たとえばインビザラインの場合、マウスピース1枚で歯を動かせる量は最大0.25mmといわれています。
マウスピースを毎週新しいものに交換しても、1ヶ月で移動できる量は計算上1mm程度が限度ということになります。
実際には、患者様の歯の動きやすさや追加治療の有無、歯を動かす順番などによっても移動量は変動するので、それほど多くは動かせないかもしれません。
あせらず、じっくりと取り組んでいきましょう。
◆ マウスピース矯正で歯が動く仕組みについて解説した記事もありますよ!こちらもあわせて読んでみてくださいね。
マウスピース矯正で抜歯は必要?
マウスピース矯正に限りませんが、歯を移動させるスペースが不足する場合、抜歯をしてスペースを作ることがあります。
これ以外にも、「IPR」という歯の側面を削る治療を行ったり、「拡大床」という歯列を拡大する治療を行ったりしてスペースを作る方法もあります。
◆ キレイライン矯正の抜歯について解説した記事と、インビザラインの抜歯について解説した記事もあります。抜歯について不安がある方は、ぜひ読んでみてください。
マウスピース矯正の弱点も理解したうえで治療を始めよう!

マウスピース矯正には、魅力的なメリットがたくさんあります。
マウスピース矯正のメリット
- 矯正装置が目立ちにくい
- 治療中の痛みを感じにくい※1
- マウスピースを着け外しできる※2
- 金属アレルギーの心配がない
歯列矯正の方法を選ぶときは、これらのメリットも大切ですが、デメリットも理解し、納得したうえで治療に臨みましょう。
記事内では6つのデメリットを紹介しましたが、矯正中のルールをしっかりと守り、不安なことがあったときはすぐにクリニックに相談することが大切ですよ。
DDデンタルクリニックグループでは、部分矯正で人気の「キレイライン矯正」と、歯列全体を治療できる「インビザライン」を提供しています。
あなたに合った治療方法を提案しますので、お悩みやなりたい歯並びなど、お気軽に相談にいらしてくださいね。

※1 痛みには個人差があります。
※2 1日の装着時間を守る必要があります。
※本記事は2025年3月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。
※保険適用外の自由診療となります。
※掲載している料金はすべて税込み価格です。