マウスピースをつけたまま食べれるものは?飲み物の選び方や外食のポイントも

マウスピース矯正の基礎知識

マウスピース矯正をしていると、ちょっとだけならマウスピースをつけたまま食べてもいいかな?」「外食のときもマウスピースを外さなくてはいけないの?と思うことがありますよね。

はたして、マウスピースつけたまま食べれるものってあるのでしょうか?

また、食事のときにマウスピースを外さなければならない理由は?

この記事では、食事シーンでありがちな困ったときの対処法や外食時に気をつけたいポイントも含めて、マウスピース矯正中の食事に関する注意点をわかりやすく解説していきます。

現在マウスピース矯正中の方も、これからマウスピース矯正をしたい方も、ぜひ参考にしてくださいね!

基本的にマウスピースをつけたまま食べられるものはない

結論からいうと、マウスピースをつけたまま食べられるものはありません。

たとえ「ほんの一口だけ」でも、必ずマウスピースは外さなければなりませんし、飲み物も一部の例外を除いては外して飲む必要があります

なぜ一口食べるだけでもマウスピースを外さなければならないのでしょうか?

また、どんな飲み物ならマウスピースを装着したまま飲めるのでしょうか?

理由とともに解説していきます。

ガムや飴、ゼリーくらいは食べてもいい?

小腹がすいたり口が寂しくなったりしたときに、何か少しだけ口に入れたくなりますよね。

「食事の時間まではガムで我慢する」「仕事中は飴をなめて気を紛らわせる」

という方もいるのではないでしょうか。

また、ゼリーみたいにほとんど噛まなくていいものなら大丈夫かな」「晩御飯を作るときに味見するぐらいならとつい食べ物を口に入れたくなることもあるかもしれません。

しかし、飴やガム、ゼリーなどには糖類が含まれています。

糖類が歯に付着するとむし歯のリスクが高まってしまうのでマウスピースを装着したまま食べることはできません。

矯正歯科治療の途中でむし歯ができてしまうと、いったん矯正治療をストップしてむし歯の治療が優先されることもあるので注意しましょう。

糖類ゼロの飴であれば一見よさそうに思えるかもしれませんが、ノンシュガーでもはちみつや果糖を含んでいるものもあるので安心はできません。

ガムの場合は、100%キシリトールであれば糖類の心配はないのですが、ガムやソフトキャンディなどは歯にくっついてマウスピースが浮いたりズレたりしてしまう可能性がありますし、噛むことでマウスピースが傷ついてしまうこともあります。

矯正中に何か口に入れたいと思ったときは、たとえ味見程度でもマウスピースを外す必要があります

どうしてもという場合は、糖類を含まないキシリトール100%のタブレットを噛まずに食べるのがおすすめです。

マウスピース装着中に口にして良い飲み物

マウスピースを装着したまま飲むことができるものがあります。

  • 40度以下の白湯
  • 無糖炭酸水

上記の3つに限っては、マウスピースを外さなくても飲めます。

仕事中や電車移動中などでも気軽に飲めるので、ぜひ覚えておきましょう。

では、なぜ他の飲み物はマウスピースを外さなければならないのでしょうか?その理由をくわしく見ていきましょう。

マウスピース装着中に避けるべき飲み物

マウスピース矯正中でも水分補給は大事ですが、普段なにげなく飲んでいるものでも注意が必要な飲み物はたくさんあります。

色の濃い飲み物糖類や酸を含む飲み物40度以上の熱い飲み物
理由マウスピースに着色してしまう可能性が高いむし歯の原因となりやすい熱でマウスピースが変形する恐れがある
飲み物の例コーヒーやお茶、ワインなどジュース、スポーツドリンク、酒類、野菜ジュース、スムージー、牛乳などコーヒー、紅茶、緑茶、ココアなど

ジュースなどの甘い飲み物に糖分が含まれていることはよく知られていますが、お酒にも糖分が多く含まれています。

また、野菜ジュースやスムージーなどには果糖、牛乳には乳糖が含まれており、マウスピース矯正中は注意したい飲み物です。

このほかアミノ酸やクエン酸はむし歯の原因菌の活動を助けてしまうため、こちらもおすすめできません。

マウスピースをつけたまま飲めるのは、

  1. 40度以下の白湯
  2. 糖類の入っていない炭酸水

の3つということを覚えておきましょう。

マウスピースをつけたまま食事してはいけない3つの理由

「食事のたびにマウスピースを外すのは面倒」

と感じる方もいるかもしれませんが、これは、スムーズな矯正歯科治療のためにも大切なことなんですよ。

ここでは、マウスピースをつけたまま食事をした場合の3つのリスクについて解説します。

理由①マウスピースが破損・変形する恐れがあるから

マウスピースはひとりひとりの歯型を採取し、それぞれの歯に適切な力がかかるように細密に調整されています。

ところがマウスピースをつけたまま食べ物を噛んでしまうと、マウスピースが傷ついたり変形したりして、想定していた力が歯にかからなくなり治療が計画通りに進まなくなってしまうおそれがあります。

こうなってしまうとマウスピースを再製作することになりますが、その場合は追加費用がかかりますし、「すぐに新しいのが欲しい」と思っても、オーダーメイドのため完成までに数週間程度かかるのが一般的です。

マウスピースが出来上がるまでの間に、せっかく動き始めた歯が元に戻ってしまうリスクもあるので、マウスピースを傷つけないよう、食事の際には必ず外すようにしましょう。

理由②マウスピースに色がつく可能性があるから

マウスピース矯正に使うマウスピースは透明の素材でできており、装着していてもほとんど目立たないのが大きな魅力です。

しかしカレーやトマトソース、ワインなどの色の濃い食べ物はマウスピースに着色しやすいため、せっかくの透明のマウスピースが黄ばんで魅力が半減してしまうことも……!

着色したマウスピースを使うことは衛生的にもよくないため、日ごろから着色汚れには注意しましょう。

理由③虫歯・歯周病になるリスクがあるから

マウスピース矯正は痛いのか

マウスピースを装着したまま食事をすると、マウスピースと歯の間に食べかすが残ってしまう可能性があります。

この食べかすをエサに細菌が繁殖すると、むし歯や歯周病になってしまうリスクがあるんですよ。

さらには、雑菌が繁殖して口臭の原因にもなるため、無意識のうちに周囲に不快感を与えてしまうことにもなりかねません。

むし歯や歯周病になってしまうと、矯正歯科治療を中断してそちらの治療が優先されることもあります。

スムーズに矯正歯科治療を進めるためにも、ぜひ食事の前にはマウスピースを外し、歯みがきをしてから再装着してくださいね。

マウスピース矯正中の食事で困ったときの対処法 

マウスピース矯正中は、食事に注意しなければならないことは理解していても、日常生活でどうしても避けられない場面も出てきます。

そのようなときには、これから紹介する対処法がわかっていると心強いですよ。

外食時だけでなく、自宅で食事をするときにも役立つ知識をお伝えするので、参考にしてくださいね。

例①どうしてもマウスピースを外せない・歯磨きができない

訪問先や取引先で飲み物を出してもらったときは、マウスピースを外すのがなかなか難しいかもしれません。

ひとりきりになれるタイミングがあればいいのですが、取引先の方や上司などが同席していると、マウスピースを外せなくなってしまいますよね。

かといって、出された飲み物を飲まないというのも気まずいもの。

そんなときは、可能であれば、アイスストレートティーやアイスブラックコーヒーなどの「冷たい+甘くない」飲み物を選ぶとよいでしょう。

また、ストローがあれば口の中で飲み物が広がるのを少しは防ぎやすくなりますよ。

もし選択の余地がなく、最初から熱い緑茶などを出されたときは、猫舌などを理由に少し時間をおいて冷ましてから飲むのもひとつの方法です。

マウスピースを外せないまま飲み物を飲んでしまった後は、なるべく早くマウスピースを外して洗浄し、歯みがきをしましょう。

すぐに歯みがきができないときは、口をゆすいだりマウスウォッシュを使ったりするのもおすすめです

例②マウスピースをつけたまま食事をしてしまった

うっかりマウスピースを外すのを忘れたまま食事をしてしまった

という話を聞くこともありますが、このような場合は、気づいたらすぐにマウスピースを外してください。

マウスピースが破損したり変形したりしてしまうおそれがあります。

外したマウスピースはウェットティッシュなどで汚れをきれいに拭き取って、破損や変形がないかを丁寧にチェックしましょう。

もし破損や変形、小さな亀裂などが見られた場合は、正しい矯正効果が期待できないことがあるため、すぐに通院中のクリニックへ相談してください。

傷や破損などが見られず、再装着する場合は、必ず歯みがきをして口腔内を清潔にしてからマウスピースを装着してくださいね。

例③外食でマウスピースを外すタイミングが分からない

自宅なら気を使うことなくマウスピースを外せますが、外食の時にマウスピースを外すのはタイミングをつかみにくいですよね。

そこでおすすめなのが、次の3つのタイミングです。

◆ 料理を注文する前

注文するものを決めるまでは着席し、決まったら同席している人に注文をお願いしてお手洗いやパウダールームなどでマウスピースを外します。

あるいは、メニューを見る前に席を立ってマウスピースを外しておき、後でゆっくりメニューを見るのもよいでしょう。

◆ 料理を注文した後

注文後は料理が運ばれてくるまでしばらく時間があります。

この隙間時間を利用して、席を立ってマウスピースを外すとスムーズです。

◆ 乾杯をした後

会食などで席を外すタイミングを逃してしまった場合は、最初の乾杯まで待ち、一口目だけ付き合ってからお手洗いでマウスピースを外します。

このとき、外したついでに軽くマウスピースを洗浄しておいてもいいですよ。

マウスピース矯正中の外食におけるポイント

マウスピース矯正中の外食では、どのように着け外しをすればよいのか悩むかもしれません。

ここでは、外食時のマウスピースの取り扱いについて、気を付けるべきことをまとめてみました。

①人前で外さない

マウスピースは、慣れた方なら数秒で着け外しができます。

矯正中の方にとってはごく短時間であり日常の一部かもしれませんが、それでも人によっては見ていて不快に感じることがあります。

マウスピースは人前では外さず、お手洗いやパウダールームなどで外すようにしましょう。

②専用のケースに保管する

食事中は破損を防ぐためにマウスピースを外します。

外した後は、流水で軽くすすいで洗浄し、専用のマウスピースケースに保管しておくのが基本です。

もし近くに水道がなく、洗浄が難しい場合は、代わりにウェットティッシュで拭くだけでもいいでしょう。

ただし、気をつけたいのは保管方法です。

洗浄後、ティッシュや紙ナプキンなどに包んでおくと、紛失したり、間違えて捨ててしまったりする可能性があります。

マウスピースは必ず専用のマウスピースケースに保管するよう、日ごろからケースを持ち歩く習慣をつけておくと安心です。

万一ケースを携帯するのを忘れてしまったときは、ハンカチやタオル、ビニール袋などで包んでカバンに入れておくと紛失しにくいでしょう。

③食後は必ず歯を清潔にしてからつける

食後は外していたマウスピースを再装着しますが、装着前には必ず歯みがきをして口腔内を清潔にしてください。

できれば歯間ブラシやデンタルフロスも使うのが理想です。

もし歯みがきをしないままマウスピースを装着してしまうと、マウスピースと歯の間に付着した食べかすから雑菌が繁殖してむし歯の原因となったり、マウスピースが着色してしまったりするおそれがあります。

マウスピース矯正中は、日ごろから次のものを持ち歩き、口腔内の衛生に注意しましょう。

  • 歯ブラシやデンタルフロス・歯間ブラシが入った歯みがきセット
  • 携帯用のマウスウォッシュ
  • ウェットティッシュ
  • マウスピース保管ケース

④装着時間・つけ忘れに気を付ける

食べ歩きやお酒の席などでは、食事の時間が長くなりがちです。

うっかり長時間マウスピースを外したままになってしまうと、装着時間が足りず計画通りに治療が進まなくなる可能性があります。

また、マウスピース矯正に慣れてきてついうっかり食後にマウスピースを着け忘れた!ということも起こり得ます。

マウスピースは1日の装着時間が決められている(※装着時間はブランドにより異なります)ので、必ずこの装着時間を守るように意識してみてくださいね。

マウスピースさえ外せばOK!歯科矯正中でも食事は楽しめる

マウスピース矯正中は、飲食前にマウスピースを外すのがお約束です。

最初は面倒に感じるかもしれませんが、マウスピースを外すことは、矯正中のパートナーを傷や破損から守り、むし歯や歯周病を防ぐために大切なことです。

いくつか守らなければならないルールはありますが、マウスピース矯正はマウスピースさえ外してしまえば何でも食べられるんですよ。

たとえば広く知られているワイヤー矯正やワイヤーを裏側につける矯正法では、口腔内に着け外しができないワイヤーを装着しているため、装置が外れる可能性がある硬い食べ物や、装置に絡まりやすい粘着性の高い食べ物、装置にひっかかりやすい繊維質な食べ物などはなるべく避けたほうがよいといわれています。

この点、マウスピース矯正はマウスピースを外してさえいれば食べ物の制限がないため、食事面でのストレスを感じにくい矯正方法といえます。

マウスピースをつけたまま食べられるものはありませんが、飲食の前にはマウスピースを外し、飲食後は歯みがきとマウスピースの洗浄を習慣にして、矯正中も食事を楽しんでくださいね!

 

※本記事は2023年5月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。

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