前歯だけをマウスピース矯正で治療したい!値段・期間の目安やメリットも解説

マウスピース矯正の基礎知識

「マウスピース矯正で前歯だけの治療ってできるのかな?」

「矯正治療って値段が高くて時間もかかるみたいだけど、前歯だけなら安くて短期間でできそうだよね?」

すきっ歯や出っ歯・八重歯など、たとえわずかなズレでも前歯だと目立ちますよね。

笑ったりおしゃべりしたりするだけでも見えるし、鏡に映る自分を見るたびに悩みは深まるばかり…

そんな毎日を送っていませんか?

マウスピースを使った部分矯正なら、前歯の歯並びだけを人にバレにくい装置で治療することができます。

しかも、前歯だけならすべての歯を動かす全顎矯正(全体矯正)とくらべて比較的短期間(※)で値段も抑えられると聞いたら「私もやってみたい!」と思いますよね。

※治療期間には個人差があります。
※保定治療期間は含みません。すべての矯正歯科治療において、治療終了後は後戻りを防ぐため保定治療が必要です。

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しかし、前歯だけのマウスピース矯正は、どんな歯並びでも治療できるわけではありません。

また、歯並びを整えるために守らなければいけないルールがあるなど、いくつかのデメリットがあるのも事実です。

この記事では、マウスピースを使った前歯だけの部分矯正がどんな歯並びに対応しているのかや、治療の期間・費用の目安などをご紹介します。

また、前歯だけをマウスピースで矯正するメリットと、始めてから後悔しないために知っておきたいデメリットも解説します。

八重歯やすきっ歯を治して思いっきり笑える口元を目指したい!と思っている方は、ぜひ参考にしてください。

マウスピース矯正で気になる前歯だけの治療もできる?

マウスピース矯正は、前歯から奥歯までを覆う透明なマウスピースを装着して歯並びを整える治療です。

このため「前歯だけは無理なのかな…」と思っている方が多いようですが、結論から言えばマウスピース矯正で前歯だけの治療はできます。

奥歯を含めた歯並び全体ではなく気になる前歯だけなど、一部分だけを治す場合は「マウスピースの部分矯正」となります。

ただし、症状が重かったり咬み合わせに問題があったりする場合など、もともとの歯並びや症状によっては部分矯正では対応が難しいこともあります。

このあと、マウスピースで部分矯正できる前歯の範囲や、マウスピースで部分的に歯を動かす仕組みを説明します。

マウスピースの部分矯正は前歯部分を中心とした治療

「前歯だけ部分矯正する」と聞いて、イメージするのはどの歯ですか?

真ん中の2本の前歯だけと思う方が多いようですが、実は部分矯正の治療範囲は一般的に犬歯から犬歯までの間を指します。

いちばん中央の歯から3本目まで、左右と上下を合計すると12本が対象ということになります。

部分矯正では歯科医師の診断により、もとの歯並びや症状を考慮した上で、中央2本の歯に限らず周囲の歯を含めた治療が可能です。

歯を部分的に動かせるのはマウスピースの設計がポイント

マウスピースを調整してもらう

※画像はキレイライン矯正のマウスピースです。

部分矯正と聞くと「どうやって前歯だけを動かすの?本当に前歯の歯並びがきれいになるの?」と不安や疑問を感じる方もいるでしょう。

歯全体を動かさずに前歯の隙間やねじれを治療できるのは、マウスピースの設計に秘密があるからです。

マウスピース矯正で使用する透明のマウスピースは、ひとりひとりに合わせて製作されるオーダーメイドの装置です。

しかし、もともとの歯並びにぴったり合わせるのではなく、目指す歯並びに向けてわずかなズレができるように設計されています。

このズレがあるマウスピースを装着することで歯に適度な圧力がかかり、少しずつ歯が動く仕組みです。

歯の動きに合わせて、より目指す歯並びに近いマウスピースへと定期的に交換していくことで、少しずつ理想の歯並びに近づけていきます。

マウスピースは口腔内スキャナーでひとりひとりの口の中のデータを採取・分析して作られます。

デジタル技術の活用により、前歯から奥歯まで全てを覆うマウスピースで、奥歯は動かさずに前歯部分だけを動かすような精密な設計ができるのです。

※歯型の採取(印象採得)方法は、マウスピース矯正ブランドやクリニックにより異なります。

「前歯だけを矯正するのに、なぜ前歯だけのマウスピースじゃないの?」

と思うかもしれませんが、マウスピース矯正では、部分矯正でも他の歯との位置関係を正しくするために歯列全体を覆う装置を使用する必要があります。

はじめのうちは窮屈だったり違和感を感じたりすることもあるかもしれませんが、それは歯に適切な圧力がかかっているからです。数日経てば慣れて気にならなくなることが多いです。

マウスピースの部分矯正で対応できる歯並びの特徴は?

マウスピースで部分矯正したいと思っても、必ずしも希望通りに治療を受けられるとは限りません。

すべての歯並びを整える全顎矯正と比較して、部分矯正はもとの歯並びや症状によっては対応できない場合があります。

「できない場合がある」と聞くと、自分の前歯はできるの?できないの?

と心配になりますよね。ここでは、マウスピースの部分矯正で対応できる歯並びの特徴をご紹介します。

実際にマウスピースの部分矯正でご自身の歯並びを治せるかどうかは、歯科医院で診察と検査を受けてみないと判断が難しいところですが、どんな歯並びに対応できるのか・どのように変わるのかを知っておくための参考にしてください。

軽度の出っ歯の場合

出っ歯は「上顎前突」と呼ばれる症状で、上の前歯や上顎が前方に突き出している状態です。

出っ歯は顎が小さい日本人に多くみられる症状でもあり、前歯の角度が原因のタイプと、顎の骨格そのものが前に出っ張っているタイプに分けられます。

前歯が少し上向きに生えているなど、軽度の出っ歯の場合はマウスピースの部分矯正が適応となる可能性があります。

顎の骨格が出っ張っているタイプや、隣の歯との角度の差が大きい場合などは、部分矯正での対応が難しいことが多いです。

歯のがたつきやねじれの程度が軽い場合

前歯同士が重なって歯並びががたついているのは「叢生(そうせい)」と呼ばれる状態です。

八重歯も叢生の一種で、歯と顎の大きさのバランスが合わないことで、歯が部分的に重なり合って生えてしまいます。

また、まっすぐ生えてくるはずの歯がねじれて生える「捻転歯(ねんてんし)」がある場合も、歯並びがデコボコします。

いずれも軽度の場合にはマウスピースの部分矯正で対応できる可能性がありますが、基本的に抜歯を行わない部分矯正では、

歯を移動させるためのスペースが限られています。そのため、重症の場合には抜歯したうえでの全顎矯正が必要となるケースもあります。

軽度のすきっ歯の場合

歯と歯の間に隙間が空いているすきっ歯は「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼ばれます。

前歯の中心に隙間があるだけなら「ちょっと寄せればよさそう」と思う方も多いですね。

しかし、すきっ歯の隙間を閉じることで別の場所に隙間ができてしまう場合は、のちのち咬み合わせに問題が出てくるケースもあるため、全顎矯正でなければ適切な治療ができないこともあります。

軽度の場合は部分矯正で対応できる場合もありますが、すきっ歯の原因や程度によっては部分矯正だけでは対応が難しいケースもあるので、歯科医院で診察を受けるのがおすすめです。

咬み合わせに問題がない場合

マウスピースの部分矯正は、がたつきやねじれ・出っ歯・すきっ歯など、気になる前歯を部分的に動かして見た目を整えることが目的です。

軽度の部分的な症状だけで、全体的な咬み合わせに問題がない場合に適応になります。

歯を並べるスペースが足りない・もともとの咬み合わせに問題がある・前歯のみを動かすことで咬み合わせに問題が発生するケースなどでは、全顎矯正を検討する必要があります。

マウスピースの部分矯正で前歯だけを治す費用や期間の目安

「歯列矯正は時間もお金もかかるみたいだけど、前歯の歯並びを治すだけなら低価格で早く治療できそう!」

マウスピースの部分矯正にこのようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

確かに、前歯部分だけなら治療範囲が狭いため、全顎矯正とくらべるとそう言えるかもしれません。

しかし、一人ひとりの歯並びや症状に個人差があるように、マウスピースの部分矯正にかかる費用や治療期間もそれぞれ異なるのです。

ここでは、前歯だけをマウスピース矯正で治療する際にかかる費用や期間の大まかな目安を解説します。

また、同じ前歯の部分矯正でも、費用や期間に幅がある理由もくわしく説明していきます。

費用や期間は自社調査した数値のため、おおよその目安としてご覧ください。

※治療期間や費用、効果には個人差があります。

平均期間は2ヶ月~1年半

一般的に、マウスピースの部分矯正を終了するまでにかかる平均的な期間は2ヶ月〜1年半程度です。

治療をスタートするときの歯並びの状態や、何本の歯を動かすかなどの治療範囲によっても異なります。

※2022年、自社調べ
※治療期間はあくまでも目安です。装着する矯正装置の種類や、治療の範囲、歯の状態、年齢等により大きく変わります。
※保定治療期間は含みません。すべての矯正歯科治療において、治療終了後は後戻りを防ぐため保定治療が必要です。

費用は20~45万円がボリュームゾーン

前歯だけのマウスピース矯正にかかる費用相場は15〜66万円で、その中でも多く設定されているのは20〜45万円です。

価格の差がかなり大きく見えますが、これも期間と同様に上下合わせて12本の前歯のうち、どこまでをどの程度治療するかによって変わります。

※2022年、自社調べ

期間や価格は選ぶマウスピースによって異なる

キレイライン矯正のマウスピース

※画像はキレイライン矯正のマウスピースです。

「歯並びや本数が違うだけで期間や価格にそんなに幅があるの?」

と思う方もいるでしょう。実は、期間と価格に差が出る理由はもう一つ、それは治療を行うマウスピース矯正ブランドによる違いです。

歯科医院によって取り扱っているマウスピースのブランドが異なり、それぞれ治療範囲や適応する症状が違います。

また、治療終了までに使用するマウスピースの枚数が決められているブランドもあり、枚数が多いほど期間が伸びて費用も上がる傾向にあります。

マウスピース矯正で部分矯正をするメリット

メリット

「対応できる歯並びや仕組みはわかったし、期間や費用についても理解した。でも…なんとなくまだ迷っている…」

目に見える材料がすべて揃っても、それだけでは踏み切れないことってありますよね。

そんなときには、他の治療法とは違うマウスピースでの部分矯正だからこそと言えるポイントが決め手になるかもしれません。

マウスピース矯正といえば着脱できてお手入れしやすいのが特徴ですが、ここでは前歯だけのマウスピース矯正ならではのメリットをご紹介します。

※ブランドごとに決められた装着時間を守る必要があります

目立ちにくく矯正していることがバレにくい

「気になる前歯だけを治すのに、目立つ装置をつけるのはイヤだな」

という方にこそ選ばれているのがマウスピース矯正。

マウスピースは透明度の高い素材で作られており、目立ちにくく近くで見てもバレにくいのがメリットです。

厚みも少ないため装着している違和感を感じづらく、慣れてくると会話にもそれほど影響がありません。

前歯の矯正をしていることを周囲に知られずに治療を進められますよ。

全体矯正よりも短期間で治療を終えられる

歯列矯正といえば、長い期間がかかるイメージがありませんか?

奥歯を含む全顎矯正と、前歯だけ・数本だけなどの部分矯正の期間を比較してみましょう。

【マウスピース矯正・治療期間の目安】

部分矯正2ヶ月~1年半程度
全顎矯正1年~3年程度
※2022年、自社調べ
※治療期間はあくまでも目安です。装着する矯正装置の種類や、治療の範囲、歯の状態、年齢等により大きく変わります。
※保定治療期間は含みません。すべての矯正歯科治療において、治療終了後は後戻りを防ぐため保定治療が必要です。

全顎矯正の治療期間の目安は1〜3年程度なので、確かに治療が終わるまでには長くかかると感じる方もいるようです。

しかし、部分矯正の治療期間の目安は2ヶ月〜1年半程度で、全顎矯正と比べると歯を動かす部分や移動量が少ない分だけ短期間で終了します。

歯の動きやすさや歯を動かすスペースの有無など、期間に影響する個人差はあります。しかし、全顎矯正よりも部分矯正の方が早くきれいな歯並びになることを期待できるのもメリットです。

全体矯正よりも低価格で矯正ができる 

「矯正イコール高額な費用」

というイメージが強いかもしれませんが、実は前歯だけの部分矯正なら全顎矯正よりも低価格で治療できます。

【マウスピース矯正・費用の目安】

部分矯正15万~66万円
全顎矯正33万~137万円
※2022年、自社調べ

マウスピースでの部分矯正は、全顎矯正と比較して治療する範囲が狭く動かす歯の本数も少なくなります。

このため、治療の過程で使用するマウスピースの枚数が少ないプランで治療でき、マウスピースの枚数に比例して費用も抑えられる傾向があります。

もちろんご自身の歯の状態や目指す歯並びなどにより個人差はありますが、費用の負担が少ないのはうれしいポイントですね。

マウスピース矯正で部分矯正をするデメリット

デメリット

「前歯だけの部分矯正っていいことばかりみたいだから」

とマウスピース矯正を始めたものの、こんなはずではなかった…と思いながら治療を続けるのは嫌ですよね。

目立たず比較的短い期間で、お財布にも優しく前歯だけの歯並びを整えられるのがマウスピースで部分矯正をするメリット。

しかし、メリットの反面デメリットがあるのも事実です。

※治療期間には個人差があります。保定治療期間は含みません。

ここでは、マウスピースで前歯だけを部分矯正するデメリットを解説します。

始める前にデメリットもチェックして、理想の口元になれるまでモチベーションを保ち続けられるよう準備しておきましょう!

ルールを守って正しく治療を進めないと歯が動かない

マウスピース矯正のマウスピースは、1日のうち決められた装着時間を守る必要があります。

マウスピース矯正は装置の取り外しができるのがメリットですが、基本的に食事や歯みがき以外の時間には装着していなければなりません。

「前歯だけの矯正だし、少しくらい外したままでも大丈夫かも」

などと思って、装着しない時間が長くなりすぎると治療が計画通りに進まなくなります。

マウスピースのブランドによって1日の装着時間には差がありますが、たとえばキレイライン矯正なら1日20時間以上装着するのがルール。

20時間を下回る日があれば、前歯だけの矯正だとしても、計画通りに歯が動かずに理想の歯並びにならなかったり、治療期間が延びてしまったりする可能性もあります。

キレイライン矯正のマウスピース

飲み会が多い・食べ歩きが大好きなどで装着を忘れそうな方は、スマホのリマインド機能や、装着時間を測ったり知らせたりしてくれる便利なアプリなどを活用する方法もあります。

決められたルールをしっかり守って、スケジュール通りに治療を進めましょう。

前歯だけの部分矯正であっても歯を削らなければならないケースもある

マウスピース矯正は痛いのか

前歯だけの部分矯正でも、症状によっては歯を削る場合があります。

「前歯だけなら本数も少ないし、簡単に治療できそう

と思ってはいませんか?

歯のがたつきや出っ歯などを正しい位置に並べたくても、口腔内の状態によっては、歯列をキレイに並べるスペースが足りない場合があります。

そのようなケースでは、歯を動かすスペースを確保するために歯を削る「ディスキング(IPR)」の必要が出てきます。

ディスキングは歯の側面を最大で0.5mm程度(片側0.25mmずつ)わずかに削る処置です。

抜歯せずに歯を並べるスペースをつくることができますが、むし歯でもない健康な歯を削ることに抵抗がある方にはデメリットと感じられるかもしれません。

咀嚼機能回復などが目的の場合には不向きな治療

前歯だけのマウスピースの部分矯正では、咀嚼機能や咬み合わせを治すことはできません。

マウスピースの部分矯正は、出っ歯やすきっ歯・がたつきなどの見た目を重視する方に向けた目立ちやすい前歯だけを整える治療です。

「噛みにくさ、食べにくさを改善したい」

と思う方には不向きです。

咀嚼機能の回復を目的とした治療を求めるなら、全顎矯正を考える必要があります。

マウスピースの部分矯正なら前歯だけの治療もOK!まずは歯科医師に相談してみよう

マウスピースの部分矯正は、気になる前歯だけの歯並びを整えたい方にぴったりな治療法です。

「気になる出っ歯をどうにかできないかな」「すきっ歯さえ治れば人前でもっと話せるのに」

など、前歯の悩みを解消して笑顔にも自信が持てるようになります。

マウスピースの部分矯正は、上下の前歯12本を対象にした矯正歯科治療。

全顎矯正と比較して動かす歯の範囲が狭いので、短期間で治療がしやすく費用も抑えられるのがメリットです。

(※治療期間には個人差があります。保定治療期間は含みません。)

ただし、マウスピース矯正で前歯だけを部分矯正できるかどうかは、もとの歯並びや症状の強さにもよります。

また、守らなければならないルールや歯を削る可能性など、デメリットがあるのも実情です。

でも、人知れず悩んでいる前歯の歯並びを周囲に気づかれずに治せると知ったら「やってみたい!」と思いますよね。

自分の前歯がマウスピースの部分矯正できれいにできるかどうかを知りたいと思っているなら、まずは歯科医師に相談してみてください。

 

※本記事は2023年6月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。

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