マウスピース矯正中にOKな飲み物は水だけ?NGの飲み物の種類とそのリスク
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マウスピース矯正を始めたばかりのころは、なにか飲むたびにマウスピースを外すのは面倒に感じてしまいますよね。
食事のときに外すのは仕方ないとしても、飲み物くらいはそのままでもいいんじゃないかと思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
「コーヒーを飲んだ後に、マウスピースを外して歯磨きまでしないといけないのがストレス。ストローで飲めば問題ないんじゃないの?」
「歯科医院でマウスピースしたまま飲むなら水だけって言われた。でも、ネットには炭酸水も飲んでいいって書いてあるし、正しい情報がわからない…」
食事とちがい、飲み物を口にする回数はどうしても多くなってしまいます。
そのたびにマウスピースのつけ外しや歯磨きをするとなると、負担に感じるのも自然なことです。
「ちょっとくらいならマウスピースをしたまま飲んでも…」
という気持ちはわかりますが、マウスピースを装着したまま飲んでいいのは水だけです。
マウスピースをしたまま水以外の飲み物を飲むことは、お口のトラブルを引き起こしたり治療期間が長引いてしまったりするリスクを高めてしまう可能性があります。
きれいな歯並びを手に入れようと努力している今だからこそ、正しい情報を把握してリスクを軽減させましょう。
この記事では、
- マウスピース矯正中にはどうして水しか飲んではいけないのか
- NGな飲み物を飲んでしまうとどんなリスクが起こりうるのか
などをくわしく解説しました。
気になるストローについてなど、よくある質問もまとめたので、安心してマウスピース矯正を進めるためのルールをもう一度確認してみましょう。
めんどくさいがリスクに直結!マウスピースをつけたまま飲むと危険な飲み物とは?
マウスピースをつけたまま飲んではいけないのは、こちらの飲み物です。
日々の生活の中でよく口にする飲み物がずらっと並んでいますね。
水分補給で飲むお茶から、息抜きに欠かせないコーヒーやお酒などまで。
どうしてマウスピース装着中に飲むのがNGなのか、それぞれの項目ごとにどんなリスクがあるのかを確認していきましょう。
酸性の飲み物|むし歯リスクUP!無糖の炭酸水もNG
歯の表面は、エナメル質というとても硬い層で覆われています。
エナメル質は虫歯や知覚過敏から歯を守る役割がありますが、飲食物に含まれる酸に弱くpH5.5~5.7で溶け出してしまいます。
これを、虫歯が始まる状態である「脱灰(だっかい)」とよんでいます。
pHとは、お口の中が酸性・アルカリ性どちらに傾いているかを表す指数で、7より小さい数値だと酸性に傾き、虫歯ができやすい口内環境となってしまいます。
通常、飲み物に含まれる酸によって脱灰が起こっても、アルカリ性である唾液によって口内は時間とともに中性に戻されていき、歯も「再石灰化」されます。
ところが、マウスピースを装着したまま酸性の飲み物を口にすると、唾液で洗浄されないまま長時間酸に触れて虫歯のリスクが高まってしまうのです。
エナメル質の内側にある象牙質やセメント質はより酸に弱く、pH6.0~6.2で溶け出してしまいます。
脱灰が進みやすくなるため、歯茎が痩せて歯の根元が露出している人はとくに注意が必要です。
砂糖が入っていない炭酸水なら飲んでも害がなさそうなイメージがありますが、実はpH5.5以下のものが多いので避けたほうがいいでしょう。
- スポーツドリンク
- フルーツジュース
- 野菜ジュース
- 乳酸菌飲料
などは酸性度が高いうえに、糖分も多く含んでいるためダブルリスクとなります。
口にするときは、かならずマウスピースを外してからにしましょう。
60度以上の熱い飲み物|熱でマウスピースが変形!作り直しが必要になることも
マウスピースはプラスチックで作られているため、熱に弱いという性質があります。
60度以上の飲み物はマウスピースが変形してしまう恐れがあり、歯にフィットしなくなってしまうことも。
マウスピースが変形することで、計画通りに矯正治療を進められなくなったり作り直しが必要になったりするリスクが生じます。
結果として治療期間が長引く、追加費用がかかるなどの問題が起こることがあるので注意しましょう。
また、まだ導入している歯科医院は少ないですが、最先端素材で作られた形状記憶するマウスピースも開発されています。
このマウスピースは60度程度のお湯で軟化しても、体温になると形状記憶された形に戻るという特徴があります。
形状記憶素材で作られたマウスピースなら熱い白湯を飲んでも変形しませんが、リスクを軽減するためにはマウスピース装着時の水以外の飲み物はおすすめできません。
アルコール|さまざまなジャンルのお酒がNG!赤ワインは特に要注意
アルコールは種類によってリスクが異なりますが、ほぼすべてのお酒がNGとなっています。
複数のリスクを含むお酒もあるため、飲酒をするときもかならずマウスピースを外しましょう。
糖分を含むアルコール
- ビール、日本酒、カクテル、ワイン など
ビールや日本酒などの甘くないアルコールにも、じつは糖分が含まれています。
着色につながる色素を含むアルコール
- 赤ワイン、サングリア など
色の濃いお酒は、歯やマウスピースに着色しやすいです。
酸性のアルコール
- 白ワイン、赤ワイン、梅酒、ハイボール など
虫歯の始まりである脱灰を引き起こすpH値の低いアルコールです。とくに白ワインはpH2.3~3.4のものが多く、エナメル質への影響が大きいといえます。
上記のアルコールの中でも、赤ワインは「糖分×着色×酸性」とトリプルリスクのある飲み物です。
マウスピース装着中には、飲まないように注意しましょう。
糖分が入った飲み物|スポーツドリンクも虫歯や口臭の原因に
「甘いもの=虫歯になりやすい」
というイメージのとおり、甘い飲み物もマウスピース装着中には気をつけたい飲み物です。
マウスピースを着けたまま甘い飲み物を飲むと、マウスピースと歯の間に糖分が入り込みます。
本来なら唾液が糖分を洗い流し、自浄・殺菌作用によって虫歯を防いでくれます。
ところが、マウスピースを装着していると唾液が歯に届きにくく、糖分が歯に付着した状態が長く続くので細菌が繁殖しやすくなります。
これが虫歯や口臭の原因となってしまうのです。
スポーツドリンクにも注意
運動をしている人は、スポーツドリンクにも注意しましょう。
スポーツドリンクには糖分に加えて、クエン酸やアミノ酸などの酸性成分が含まれています。
汗をかく季節はスポーツドリンクを飲む回数が増えるので、虫歯のリスクがより上昇しやすいでしょう。
マウスピース装着中の運動時は、水で水分補給をするのがおすすめ。
「熱中症予防でどうしてもスポーツドリンクを飲みたい」
という場合には、休憩のタイミングでマウスピースを外して飲むようにしましょう。
その後、うがいをして口腔内を清潔にしてからマウスピースを装着すると安心です。
色素の濃い飲み物|透明なマウスピースが黄ばんで目立ってしまう
コーヒー、紅茶、赤ワインなどの色素を多く含む飲み物は、マウスピースの着色の原因になります。
マウスピース矯正の大きなメリットである「装着していることがわからないほどの透明性」が失われることに。
そのうえ、不潔な印象を持たれることにもなりかねません。
もっと注意したいことは、マウスピースと歯の間に色素が付着したままの状態が続くと、歯そのものが変色してしまう原因にもなり得るということ。
せっかく歯並びがきれいになっても、歯が変色してしまっては残念ですよね。
色素の濃い飲み物を口にするときは、マウスピースを外すようにしましょう。
装置を外したら何を飲んでもOK?マウスピース矯正中には歯が喜ぶ飲み物がおすすめ!
マウスピース矯正治療中でも、マウスピースを外せば基本的には何を飲んでもOKです。
ただし、長時間マウスピースを外していると矯正治療の進行に影響してしまいます。
ダラダラ飲みはやめて、その後のお手入れと再装着を忘れずに行いましょう。
飲み物を楽しむのは気分転換になっていいことですが、歯並びを整えている今だからこそ、普段よりも歯の健康に気をつけるのもいいですね。
歯の健康を守ってくれる飲み物はこちら。
水
マウスピース装着中に飲める水は、歯の健康にもいい飲み物です。
口腔内を水分でうるおすことで唾液の分泌を促して、自浄・殺菌作用を助けてくれます。
お茶
緑茶、ウーロン茶、紅茶などのお茶にはポリフェノールの一種であるカテキンやフッ素が含まれています。
茶カテキンは抗菌・抗酸化作用があり、細菌やウイルスの働きを抑制してくれます。フッ素は、歯周病・虫歯・口臭の予防に期待できます。
ただし、色素沈着には気をつけましょう。
お茶を飲んだらすぐに歯磨きをするか、むずかしい状況なら水で十分にうがいをするなどの対応を取ってください。
牛乳
カルシウムが豊富な牛乳は、脱灰してしまった歯の再石灰化を助けてくれます。
虫歯の予防のためにも積極的に飲みたいですね。
ただし、牛乳には「乳糖」という糖分が含まれています。
牛乳を飲んだあとは、できるだけ早く歯磨きをしてお口の中を清潔にしましょう。
マウスピースを外しているときは飲み物の制限はありませんが、歯や歯茎の健康を守るためにも日常的に口にする飲み物は気をつけたいものです。
甘いジュースや炭酸飲料などを好んで飲んでいる人は、普段の飲み物を緑茶に変えるだけでもリスクを減らすことが期待できますよ。
きれいに整った歯並びがより映えるように、健康な歯を育むことを少し意識してみませんか?
◆ マウスピース装着時の飲み物だけでなく、「食べ物」についても詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
マウスピース矯正の大きなメリットは、マウスピースを外している間は好きな食べ物・飲み物をなんでも楽しめるということ。
矯正治療は長期間にわたるので、飲食の制限がないのはストレスの軽減につながります。
きれいな歯並びを目指しながらこれまでのように食べることや飲むことを楽しみたい人は、「インビザライン」や「キレイライン矯正」などのマウスピース矯正が向いているでしょう。
さまざまなマウスピース矯正ブランドの取り扱いがあり、ワイヤー矯正などのほかの治療法もあわせて自分にぴったりの歯列矯正を見つけたい、という人には「DDデンタルクリニック」がおすすめですよ。
マウスピース矯正中の飲み物に関するよくある3つの疑問
マウスピース矯正中に感じることが多い飲み物についての疑問を、3つまとめてみました。
「これってOKだったかな?」
と心配な人は、ぜひ確認してみてくださいね。
Q1.ストローなら何でも飲んでもいい?
ストローを使って飲んでも、飲み物のマウスピースへの接触を完全になくすことはできません。
虫歯や着色のリスクが軽減されるわけではないので、おすすめできる方法とはいえないでしょう。
ただ、ある程度はマウスピースへの接触を減らすことができるため、どうしてもマウスピースを外すことのできない状況では、そのまま飲むよりもストローを使ったほうがいい場合もあります。
その際も、できるだけ早くお口の中とマウスピースを洗浄して、飲み物の成分が長時間残ってしまわないように気をつけてください。
Q2.うっかりNGな飲み物を飲んでしまったときの対処法は?
マウスピースをしていることを忘れてうっかり飲み物を飲んでしまったときは、すぐにマウスピースを外して水洗いしましょう。
歯磨きとマウスピースの洗浄までできれば、より安心です。
熱い飲み物を飲んでマウスピースが変形してしまった場合は、すぐにかかりつけの歯科医院に連絡をしてください。
マウスピースが変形したり破損したりすると、計画通りに歯を動かすことができなくなってしまいます。
再度マウスピースを作り直す必要があるかもしれないので、治療をスムーズに進めるためにもできるだけ早く受診するようにしましょう。
マウスピース矯正治療中は、マウスピースを外せばほぼなんでも好きなものを飲めます。
リスクを高める行為を避けるためにも、日常的にマウスピースを外して飲むことを意識しておくといいですね。
Q3. 食べ歩きや飲み会の際にマウスピースを外すのがめんどくさい…何かいい方法はない?
マウスピース矯正の治療中は、1日20時間以上マウスピースを装着する必要があります。
※クリニックや歯科医師の方針によって多少異なります。
普段の生活の中なら守るのがむずかしくない時間ですが、「食べ歩きや飲み会など長時間にわたって飲食するときはどうしたらいいの?」と心配になりますよね。
食べ歩きや飲み会のときも、マウスピースを外すのは基本です。
食事の直前に外そうとすると人目が気になるので、事前にお手洗いなど人目のない場所で外してケースで保管しましょう。
マウスピースの装着時間を守れるようなら、あらかじめ自宅で外していってもOK。
ただし、予定外に外出が長引いてしまう可能性も考えて、保管ケースに入れた装置と歯磨きセットを持ち歩きましょう
決められた装着時間を下回らないよう、外出先で装着するようにしてくださいね。
きれいな歯並びを目指すためにも飲み物のルールはしっかり守ろう!
マウスピース装着中に飲めるのは、水だけということがわかりましたね。
コーヒーやお酒など水以外のものを飲むときは、かならずマウスピースを外しましょう。
「飲むたびに外すのはめんどうだな…」
と思うかもしれませんが、マウスピースをしたままNGな飲み物を飲んでしまうと、虫歯や装置の変形のリスクが上がって治療が長引いてしまうこともあります。
特に気をつけないといけない飲み物は、以下のとおりです。
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- 酸性の飲み物
- 熱い飲み物
- 糖分を含んでいる飲み物
- 色素の濃い飲み物
マウスピースを外して飲んだあとも、すぐに歯磨きをしてお口の中を清潔にしてから再装着をするようにしてください。
慣れないうちは手間に感じるかもしれませんが、習慣化してしまえば自由に飲食できるメリットを実感しやすくなるはずです。
計画通りに治療を進めてきれいな歯並びを手に入れるためにも、マウスピース装着中の飲み物のルールをしっかり守りましょう!
※本記事は2024年11月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。