すきっ歯の原因は複雑!?自力では治せない前歯の隙間の治し方
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「すきっ歯が気になって思いっきり笑えない」
「写真を撮るとき、歯を見せたくなくて口を閉じてばかり…」
話すときも笑うときもぎこちない表情になってしまい、「なぜすきっ歯になってしまったんだろう」と毎日鏡の前で悩んでいる方も多いですよね。
「すきっ歯」というのは隙間が空いた歯を見たままに表した俗称なのですが、まずは医学的にはどのような解釈になっているのかを見てみましょう。
すきっ歯とは
すきっ歯は医学的には「空隙歯列(くうげきしれつ)」や「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼ばれます。
- 空隙歯列:前歯から奥歯まで、部位にかかわらず歯間に隙間がある状態
- 正中離開:上の前歯の真ん中に隙間が空いている状態
空隙歯列のなかでも、上あごの前歯の中心に隙間がある状態を正中離開といいます。
また、すきっ歯とひと口に言っても、「子どもの頃からすきっ歯なんだよね…」という人もいれば、「大人になるにつれて歯の隙間が目立ってきたかも?」という人もいますよね。
実は、すきっ歯になる原因はひとつではないんです。
子どもの頃からのすきっ歯なら先天的な原因
- 歯ぐきと上唇をつなぐ粘膜の問題
- 歯の本数が足りない/多い
- 顎と歯の大きさがアンバランス
大人になってすきっ歯が気になりだしたなら後天的な原因
- 歯を舌で押す、下唇を噛むなどのお口周りのクセ
- 年齢によるお口のトラブル
- 上下の歯の深い噛み合わせを放置
自分がすきっ歯になってしまった原因を知りたいのに、いろいろありすぎて訳がわからない…今はそう思っているかもしれません。
でも大丈夫ですよ。
この記事では、すきっ歯のくわしい原因をわかりやすく解説していきます。
また、歯科医院ですきっ歯を治療する方法や、すきっ歯を放置することで生じるリスクも解説します。
あなたのすきっ歯の原因がわかれば、その原因に合った治療法も見えてくるはず。
前歯の隙間にコンプレックスを抱えて過ごす毎日は今日で終わり!
自信を持って笑顔になれる口元を目指してくださいね。
前歯に隙間ができる原因は?大人のすきっ歯は遺伝だけじゃない!
大人のすきっ歯の原因は、あなたが思っているよりも複雑です。
生まれ持った要因だけでなく、お口や歯のトラブルをはじめ、自分では気づいていない日頃の習慣など、さまざまな要素が影響しています。
- 歯ぐきと上唇をつなぐ粘膜が伸びている
- 歯の本数が足りない・余分に生えている
- 顎と歯の大きさがアンバランス・永久歯の一部が小さい
- 歯を舌で押す・下唇を噛むなど日頃からの習慣
- 年齢による歯ぐき下がりや歯周病
- 上下の歯の噛み合わせが深い
それでは、前歯に隙間ができてしまう原因をくわしく見ていきましょう。
歯ぐきと上唇をつなぐ粘膜が伸びている
上唇をめくると、唇の裏側から前歯の中央に向かって伸びる「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」という粘膜があります。
上唇小帯は乳幼児期には太く、前歯の間に挟まっていることも。
個人差はあるものの、顎の成長とともに歯ぐきの上側まで移動します。
しかし、永久歯に生え変わるころになっても上唇小帯が伸びたままだと、前歯どうしの間に入り込んで隙間を広げ、すきっ歯の原因になることがあります。
歯の本数が足りない・余分に生えている
通常、永久歯は親知らずを除くと上下合わせて28本生えてきます。
しかし、生えてくるはずの歯が生えない「先天性欠如」や、歯が歯ぐきに埋まったまま出てこない「埋伏歯」など、遺伝的な要因で歯の本数が足りないケースがあります。
本来歯が生えるためのスペースに対して本数が少ないと、歯と歯の間が広く空いてすきっ歯になりやすいです。
それとは逆に生まれつきの余分な歯である「過剰歯」や、横向きや斜めに生えた親知らずもすきっ歯の原因になります。
過剰歯は歯ぐきに埋まったまま外に出てこないことが多く、過剰歯を挟んでいる2本の歯の間に隙間ができたり、近くの歯を押して隙間をつくったりします。
また、向きが良くない親知らずが隣り合う歯を不自然な方向に圧迫し続ければ、結果的に歯並びが崩れて前歯に隙間ができてしまうことも。
さらに、歯科治療や虫歯などで歯が抜けたまま放置しているケースでも、もともと歯があったスペースに歯が移動していくことで、すきっ歯になってしまうことがあります。
顎と歯の大きさがアンバランス・永久歯の一部が小さい
顎の骨に対して歯が小さかったり、歯の大きさに対して顎が大きかったりすると、顎と歯の大きさのバランスがとれずに歯と歯の間に隙間が生じます。
また、通常の永久歯よりも極端に小さい「矮小歯(わいしょうし)」がある場合も、隣り合う歯との間にスペースが空くためすきっ歯になりやすいです。
歯を舌で押す・下唇を噛むなど日頃からの習慣
気がつくと舌で前歯を押している、考えるときはいつでも頬杖をつく…そんな無意識にしてしまっている癖や日頃からの習慣がすきっ歯の原因になっていることも。
舌で前歯の裏側を押したり下唇を噛んだりすると、歯に外向きの力がかかります。
ちょっとした癖のようにしか思えないかもしれませんが、歯が外側に向かって押される状態が長く続くことですきっ歯の原因になってしまうのです。
また、頬杖をつくと顎や奥歯に外側からの力がかかり、すきっ歯だけでなく噛み合わせにも悪影響を及ぼします。
眠っている間の歯ぎしりにも注意が必要で、長い時間強い力で歯を噛み締めたり擦り合わせたりしてしまうと、歯と歯の間に隙間ができるケースがあります。
年齢による歯ぐき下がりや歯周病
年齢とともに歯に隙間ができてきたような…そう感じる方もいるでしょう。
個人差はあるものの、加齢とともに歯ぐきが下がり、歯が長く見えたり今まで見えなかった隙間が現れたりするのです。
また、年齢を重ねるにつれリスクが高まる歯周病も原因のひとつです。
歯周病は歯の根っこを支える「歯槽骨(しそうこつ)」を溶かしてしまう病気。
歯槽骨が少しずつ溶かされるのと同時に、歯ぐきが下がって歯の根っこが露出するので隙間ができてしまったように見えるのです。
上下の歯の噛み合わせが深い
上下の歯をしっかり噛み合わせたときに、上の前歯が下の前歯に覆い被さってしまうほど噛み合わせが深い歯並びを「過蓋咬合(かがいこうごう)」と呼びます。
過蓋咬合は上の前歯が常に下の前歯から押し出されている状態なので、上の前歯の間に隙間ができてすきっ歯になる可能性があります。
前歯に隙間ができる原因を見てきましたが、「生まれつきだから仕方ないか」「見た目が気になるだけで特に困っていることもないし…」と、そのままにしておいても問題はなさそうだと思っていませんか?
実はすきっ歯を放置しておくと、さまざまなリスクが生じることがあるんですよ。
すきっ歯を放置するリスク
- 隙間に食べ物が挟まりやすく磨き残しがちになり、むし歯や歯周病・口臭リスクが高まる
- 食べ物を噛み切りにくい・しっかり噛めないことで消化器官に負担がかかる
- 隙間から空気が漏れてハッキリ発音しにくくなる
- 年齢とともに歯ぐき下がりが進み、歯と歯の隙間がさらに広がる
- 噛み合わせが悪くなり、顎関節症や頭痛・肩こりなどの身体の不調にもつながる
すきっ歯は見た目のコンプレックスが先行しがちですが、放置することによって生じるリスクが意外と多いことがわかりますよね。
子どものすきっ歯なら、乳歯が永久歯に生え変わることで自然に治ったと感じることもあります。
でも、大人のすきっ歯が自然に治るということはなく、自力で治す方法もありません。
放っておいても治らない、さらには将来の健康に関わるリスクまである、それを知った今こそすきっ歯の治療を始めるチャンスです!
このあと、すきっ歯の歯科治療についてわかりやすく解説します。
すきっ歯を治したい!歯の隙間を埋める歯科治療とは
すきっ歯の治療方法は、歯並びを整えて隙間を埋める「矯正歯科治療」と歯のサイズを大きくして隙間を埋める「補綴(ほてつ)治療」の2種類に大きく分けられます。
それぞれがどのような治療法なのかを見ていきましょう。
【矯正歯科治療】歯並びを整えて隙間を埋める
歯を正しい位置まで移動させることで歯並びを整えて、隙間を埋める方法です。
治療できる症状の幅が広いワイヤー矯正や、矯正装置が透明で目立ちにくいマウスピース矯正などの種類があります。
また、矯正歯科治療には治療範囲によって、奥歯の噛み合わせも含めて治療する全顎矯正と、気になる前歯などのポイントに限定して歯並びを整える部分矯正があります。
「すきっ歯は前歯だけ、部分矯正でいいよね?」
と思うかもしれませんが、症状によって治療が必要な範囲が異なるため、歯科医院で相談してみるといいですね。
【補綴治療】歯のサイズを大きくして隙間を埋める
補綴(ほてつ)とは、人工の素材を用いて歯の形を補う治療のこと。補綴治療により、1本1本の歯のサイズ自体を大きくして隙間を埋めることができます。
歯と歯の隙間にレジンを盛って埋める「ダイレクトボンディング」や、歯の表面を少しだけ削って人工の歯を貼り付ける「ラミネートベニア」、歯を大きく削って「クラウン(かぶせもの)」や「差し歯」で隙間を埋める方法などが代表的な補綴治療の方法です。
すきっ歯の原因は人それぞれ!まずは歯科医院で相談しよう
生まれつきの問題や日頃の習慣など、大人のすきっ歯の原因はさまざまです。
でも、自然に治ることがないことと、放っておくとさらに隙間が広がったり、お口のトラブルや健康を損なったりするリスクがあるということは、どんな原因だったとしても同じです。
すきっ歯はガマンするしかないのかも…と思っていませんか?
すきっ歯にはさまざまな治療方法があります。
歯の隙間だけを埋める治療や、歯並び自体を整える治療も可能です。
「すきっ歯をどうにかしたい、今こそどうにかしなきゃ!」
と思ったなら、まずは歯科医院で相談してみてくださいね。
隙間のないキレイな歯並びを手に入れるための第一歩を踏み出しましょう!
※本記事は2024年7月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。
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