歯列矯正を短期間で効果的にできる方法は?種類別の目安期間から長引かせないポイントまで
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歯列矯正中ってけっこう大変じゃありませんか?
歯みがきを念入りにする必要があるし、食事にも気を使うし……。
「早く歯列矯正を終わらせたい!」「なんとか短期間で終わらせる方法はないの?」と思いますよね。
歯列矯正の期間は人によって実にさまざまで、「一年で終わった」というケースもある一方で、「今年で4年目」「5年かかった」という人もいて、いつ自分の治療が終わるのか待ち遠しく感じてしまうのも無理はありません。
この記事では、少しでも早く理想の歯並びを手に入れたいあなたのために、歯列矯正を短期間で終わらせる方法をお伝えします!
歯列矯正を短期間で行うことは可能?

「歯列矯正ってもう少し短期間でできないの?」と思いませんか?
しかし、歯列矯正を極端な短期間で行うことは、ほぼ不可能だといっていいでしょう。
その理由は2つあります。
まずはそれぞれの理由について見てみましょう。
ただし、なるべく治療期間を短縮するための方法ならありますよ。
先に短縮方法を知りたい方は、こちらから読んでみてくださいね。
歯を動かすためには長い時間がかかる
歯列矯正で歯を動かす過程には、複雑なメカニズムがあります。

歯の根っこは、「歯根膜(しこんまく)」という膜に包まれています。
ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置で歯に力をかけると、力をかけた側の歯根膜は伸び、力をかけられた側の歯根膜は縮みます。

歯根膜は一定の厚みを保とうとする性質があります。
伸びた側の歯根膜は、骨を再生して元の厚さに戻り、縮んだ側の歯根膜は、骨を溶かす細胞を作って吸収し、厚みを戻します。

歯根膜が元の厚みに戻り、骨が吸収されたぶんだけ、歯が動きました。
歯列矯正は、これを何度も繰り返す治療です。
骨の吸収・再生には時間がかかるため、歯列矯正を短期間で終わらせることは難しいのです。
歯列矯正で歯が動く仕組みについてもっと知りたい方は、さらにくわしく解説した記事もありますよ。
◆ ワイヤー矯正の仕組みはこちらで解説しています。
◆マウスピース矯正の仕組みはこちらで解説しています。
歯を大きく動かす治療ほど期間は長くなる

歯列矯正で歯が動く仕組みは思っている以上に複雑です。
1本の歯をほんの少し動かすだけであれば、部分矯正で比較的短期間で治療が終わるかもしれません。
しかし、歯列全体が大きくデコボコになっているような重い症状の場合は、歯を大きく動かす必要があるため、全顎矯正となり、そのぶん治療期間は長くなります。
また、「気になる歯が1本だけだから部分矯正で」と思っても、その1本を動かすために歯列全体を動かさなければならない場合は、全顎矯正が必要となるケースもあります。
全顎矯正・部分矯正の違い
「全顎(ぜんがく)矯正」は前歯~奥歯まで歯列全体を治療対象とする歯列矯正です。
これに対し、「部分矯正」は、主に前歯を治療対象とした治療です。症状が比較的軽く、奥歯を動かす必要がない場合などに適応となります。
歯列矯正を短期間で終わらせる方法

歯列矯正はある程度時間をかけることが必要な治療です。
1年かかるものを1ヶ月で終わらせるような極端な短縮はできませんが、効率よく歯を動かすことで、短期間で治療を終わらせることは可能ですよ。
ここでは、ぜひチェックしておきたい4つのポイントを紹介します。
【1】部分矯正で気になる前歯だけを矯正する
歯列矯正は、治療する範囲が広いほど治療期間も長くなる傾向があります。
ネットなどで見かける比較的短期間で治療が終わるケースは、多くは部分矯正。
部分矯正が治療対象とする前歯は、奥歯より動きやすく、動かす本数が少ないため、短期間で治療を終わらせることが可能なのです。
ただし、たとえば「八重歯を1本だけ治療したい」と希望しても、歯を引っ込めるスペースがないために全顎矯正が必要となるケースもあります。
部分矯正を希望する方は、まずは歯科クリニックでご自身の症状を確認してもらうとよいでしょう。
【2】全顎矯正でも治療期間が短めの装置を選ぶ
部分矯正より治療期間が長くなる可能性が高い全顎矯正でも、矯正装置の選び方しだいで治療期間を抑えることは可能です。
全顎矯正ができる歯列矯正には、主に次のような種類があります。
- ワイヤー表側矯正
- ワイヤー裏側矯正
- マウスピース矯正
- ブラーバ
まずはそれぞれの治療期間の目安を見てみましょう。
種類別の治療期間目安
矯正装置の種類ごとの治療期間の目安は、次のとおりです。

ブラーバは裏側矯正なのに最短9ヶ月という画期的な装置

「ブラーバ矯正」は、治療期間が最短9ヶ月(※1)という、2023年に日本に上陸したアメリカ生まれの新しい裏側矯正の装置です。
注目ポイントは、ワイヤー矯正ともマウスピース矯正とも違う、新しい矯正装置の仕組みです。
歯1本1本の裏側に独立した装置を取り付け、それぞれに適した力をかけられるようになっているため、効率よく歯を動かすことが可能なんですよ。
しかもブラーバの装置は、一度装着したら、治療終了まで調整の必要がありません。(※2)
装置の調整のために通院する必要がないので、通院頻度が少ないのもうれしいですね。
◆ そんな画期的な裏側矯正ブラーバで治療した方の症例画像を紹介した記事もあります。ブラーバに興味がある方は、ぜひのぞいてみてくださいね。
※1:治療期間や通院回数は、患者様の症状によって異なります。
治療期間には個人差があります。保定治療期間は含みません。
※2:症状や歯の動き、装置の破損などにより、一度の装着で治療が終了とならない場合があります。
【3】追加治療やオプション装置で治療期間を早める
歯列矯正の装置を、ひと工夫することで治療期間を短縮する方法もあります。
それぞれをくわしく見ていきましょう。
セルフライゲーションブラケット

ワイヤー矯正に使う「ブラケット」という装置を、ワイヤーとの摩擦が起こりにくいようにした新しい矯正装置です。
従来のワイヤー矯正に使われているブラケットは、ゴムや細いワイヤーなどで締め付けてワイヤーと連結させていました。
そのため、ブラケットとワイヤーの間で摩擦が生じやすく、効率的な歯の動きを妨げていました。
セルフライゲーションブラケットは、ゴムでワイヤーを連結せず、開閉式のシャッターのようなものでワイヤーを通します。
ワイヤー矯正では形状記憶したワイヤーの復元力をつかって歯を動かしていきますが、セルフライゲーションブラケットはワイヤーが自由に動くため、摩擦が生じにくく、ワイヤーの復元力を邪魔しません。
そのため、弱い力でも効率的に歯を動かせる仕組みとなっています。
振動加速装置・光加速装置

加速装置とは、振動や光によってより効率的に歯を動かすことを目的とした装置です。
歯列矯正で歯を動かすには、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)が再生と吸収を繰り返すことが重要。
加速装置によって「破骨細胞」と「骨芽細胞」が活性化すれば、歯槽骨の代謝が促進され、より効率よく歯を動かすことが期待できます。
<振動加速装置>
振動加速装置は、高周波振動によって、歯を動かすために必要な「骨を壊す破骨細胞」と「骨を作る骨芽細胞」を活性化する装置です。また、振動によってマウスピースと歯の密着度を高め、マウスピース本来の矯正力を発揮しやすくし、痛みや違和感の軽減効果も期待できます。
<光加速装置>
光加速装置は、歯の周辺組織に近赤外線をあてて、歯を動かすために必要な「骨を壊す 破骨細胞」と「骨を作る骨芽細胞」を活性化する装置です。
セラミック矯正

「矯正」とついていますが、歯列矯正とは異なる治療です。
歯を動かすのではなく、歯を削ってセラミックでできた人工の歯を被せます。
歯を大きく削る必要はありますが、歯の色や形の自由度が高く、歯列矯正のように時間をかける必要もありません。
「とにかく短期間で歯並びを治療したい」という方は、選択肢のひとつとなるでしょう。
【4】外科的治療を検討する
外科的治療のなかには、別名「スピード矯正」とも呼ばれる方法もあります。
スピード矯正には、次のような種類があります。
インプラント矯正

歯列矯正を補助する治療です。
「アンカースクリュー」と呼ばれる医療用のネジを歯茎の中の歯槽骨に埋め込み、そこを固定源として歯を引っ張ります。
アンカースクリューはやや目立ちやすいのですが、歯を大きく動かしたり、効率的に動かしたりしたいときに有用な方法です。
コルチコトミー法(歯槽骨皮質骨切除術)
歯を支えている歯槽骨の表面の一部を外科手術で除去する方法です。
歯をより大きく動かしたいときや、スムーズに動かしたいときなどに使われます。
また、骨にはダメージを受けた後により強くなる性質があるため、後戻りしにくくなるというメリットもあります。
オステオトミー法(歯槽骨切術)
歯槽骨を切断して、骨ごと位置を調整する方法です。
広範囲の歯列を一度に動かすことができるため、歯列矯正の期間を大きく短縮することが可能ですが、侵襲性の高い治療法です。
こちらの方法も、後戻りを抑える効果も期待できます。
歯列矯正が早く終った人の特徴は?

歯列矯正が早く終わる人には、ある共通点があります。
なぜこのような人は歯列矯正が短期間で終わるのか、理由を見てみましょう。
歯が動きやすい子ども・大人なら年齢が若い人
子どもや年齢が若い人は、新陳代謝が活発です。
歯列矯正は骨の吸収・再生を繰り返して進める治療なので、新陳代謝が活発な人ほど歯が動きやすい傾向があります。
とくに成長期の子どもは、まだ顎の骨が柔らかいため、歯が動きやすいといわれています。
不正咬合が軽度な人・部分矯正が可能な人
歯並びのガタガタやすきっ歯などの不正咬合は、症状が軽度であれば部分矯正で治療できる可能性が高いです。
部分矯正は奥歯の噛み合わせの治療には向きませんが、歯を動かす本数や距離が少ない治療が得意です。
前歯数本の向きを揃えたり、小さな隙間を埋めたりするような部分的な治療ですむ人は、短期間で治療を終了できるかもしれません。
選択肢の中から期間が最短の治療を選んだ人
歯列矯正にはさまざまな方法がありますが、矯正装置の種類によっても治療期間の目安は異なります。
たとえば、歯列全体を治療する全顎矯正なら、ワイヤー矯正やマウスピース矯正は1年~3年程度が目安ですが、ブラーバは9ヶ月~1年半が目安となります。(※)
短期間で治療を終わらせたい方は、歯科医師と相談しながら、なるべく治療期間が短い方法を選ぶとよいでしょう。
※治療期間や通院回数は、患者様の症状によって異なります。
※治療期間には個人差があります。保定治療期間は含みません。
◆ 従来より短期間で治療終了をめざせるブラーバの新しい技術をくわしく解説した記事もあります。短期間で歯列矯正をしたい方は、ぜひ読んでみてください。
歯列矯正を短期間で終わらせるためのQ&A

最後に、歯列矯正を短期間で終わらせるために知ってほしいポイントをQ&A形式で紹介します。
全顎矯正なら最長で何年?最短の期間は?
歯列矯正にかかる期間は、患者様の症状の重さや歯の動きやすさなどによって大きく変動します。
そのため、「最長で何年」「最短で何ヶ月」ということは難しいのですが、編集部で調査した目安の治療期間では、次のとおりとなります。

歯列矯正を長引かせないポイントは?
治療計画どおりに歯列矯正を進めるには、矯正装置を正しく装着することが大切です。
たとえば、マウスピース矯正は1日20時間以上など、ほとんどの時間を装着したまま過ごすことが必要です。
装着時間が短くなってしまうと、必要な力を歯にかけ続けることができなくなってしまうため、当初の計画より治療が遅れてしまう可能性があります。
また、口腔ケアも歯列矯正の期間に影響します。
とくにワイヤー矯正は、ワイヤー装置に歯ブラシが引っかかったり、歯に歯ブラシが届かなくなったりするリスクがあります。
矯正中にむし歯や歯周病になってしまうと、いったん歯列矯正を中断し、むし歯や歯周病の治療を優先させることになってしまうため、そのぶん歯列矯正が遅延します。
このように、歯列矯正が計画どおりに進むかどうかは、患者様の努力しだいという側面もあります。
歯列矯正を始めたら、歯科医師の指示を守り、疑問に思うことや不安があれば積極的に相談する姿勢も大切です。
保定期間って必ず必要?
歯列矯正の治療が終了したら、リテーナーを装着する保定治療期間が必要です。
矯正で歯を動かした直後は、まだ歯根が安定しておらず、動きやすい状態です。
歯列がもとに戻ろうとする「後戻り」が起こりやすいため、歯並びを固定するリテーナーの装着が必要とされています。
せっかく手に入れた理想の歯並びをキープするためにも、歯列矯正が終わったら、かならずリテーナーを装着してくださいね。
◆ リテーナーにはさまざまな種類があります。初歩からリテーナーを解説した記事もあるので、ぜひ読んでみてください。
短期間の歯列矯正が歯の健康に与える影響は?
短期間で歯列矯正ができる「スピード矯正」には、いくつかのデメリットもあります。
- 健康な歯を削る必要がある
- 外科手術をともなうため、腫れ・出血・痛みなどの可能性がある
- 対応できる歯科クリニックが少ない
- 症状によっては適応とならない
- 費用が高額
スピード矯正を希望する方は、起こり得るリスクなども納得したうえで治療を受けましょう。
短期間で歯列矯正をしたいならDDデンタルクリニックにご相談ください

歯列矯正は、短期間で治療する方法があります。
症状によっては適応とならない可能性もありますが、治療方法の選び方しだいで治療期間を短縮することは可能ですよ。
なかでも、矯正方法はワイヤー矯正とマウスピース矯正が主流ですが、新しく日本に上陸した「ブラーバ」は、効率よく歯を動かせることで注目されている裏側矯正の装置です。
治療期間の目安は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の全顎矯正が1~3年程度なのに対し、ブラーバは9ヶ月~1年半程度と、短期間での治療を可能にしているんですよ。
※2022年自社調べ
※治療期間には個人差があります。保定治療期間は含みません。
あなたはいつまでに治療を終わらせたいですか?
就職や結婚式までに治療を終わらせたい、などのご希望があれば、お気軽に初回検診でご相談くださいね。
大切な日をキレイな歯並びで迎えるために、あなたに合った治療方法を提案します!
※本記事は2025年1月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。
※保険適用外の自由診療となります。